幸せなダイバーシティ、しなやかな働き方改革

ダイバーシティ推進や働き方改革の本質を一担当者として語りたい

労働時間を減らすために

労働時間を削減するための業務改善はいろいろなところで行われていますが、「今ある業務を見直して効率化する」というのは限界があるなと感じています。例えばExcelの関数の関数やちょっとしたマクロ、マニュアルや進捗管理の表を作成して共有するなどはすでにやっていて、これ以上どうすればいいんだろう、と思っている人も多いのではないでしょうか。また、どんどん業務の内容が変わり、新しい業務も増えてくる中で以前作ったマクロがもう使えないとか、変えるたびにマニュアルを更新する方が手間だったりします。

新しい戦略や方針によって日々業務が増えていくのはどの部署やチームも同じ状況だと思います。何かあればすぐにアクションが決められますが、やるのは現場なんですよね・・・。となれば、他の仕事を減らす、つまり「やめる」しかないというのが個人的な結論です。

ただ、仕事をやめるのは本当に面倒です。自分一人で完結する仕事は殆どなくて、チーム内外の関係者と何かしらの調整や交渉が必要になります。誰に話をして、どう根回しして、誰の承認をもらえばいいのか、ということを考えると「とりあえず今のままでいっか」と思ってしまいます。その結果がずるずると業務と労働時間が増えていく現状なんですよね。

実は私自身も仕事をやめるのは非常に難しいと感じています。何をどうやめるのか考えるだけでうんざりするのが本音です。そして、実際に交渉を始めても関係者との調整の最初でつまづいてしまうことが多く、諦めたことも数え切れません。

ただ、数々の失敗の中で発見したことがあります。自分発信の「やめたい」はなかなかうまく行きませんが、他の人の「やめたい」をサポートすると案外うまくいく気がします。その人がはっきり「やめたい」という言葉を出さなくてもなんとなくそうなのかな、というメッセージをキャッチして、「もしかしたらやめた方がいいかもしれないですね」と言ってみる。自分のチームや部署かどうかにかかわらず、そして自分の仕事が直接楽にならなくても是非試していただきたいです。

これには2つ理由があります。1つ目は「自分が楽になる」ためのアクションは後ろめたくて進めにくいけれど、他の人のためならそういう後ろめたさは感じないからです。また、自分の場合は保守的になりがちでも他の人には大胆な提案ができる、という傾向もあるようです。2つ目は多くの組織では業務を止める、という習慣がない中で、少しずつでも「やめる習慣」の風土を醸成できるからです。他人のふんどしで相撲を取る、と言いますが、私は他人が持っているタネを一緒に育てるのが、労働時間削減のために大事なのかなと思っています。そしていつか、みなさん自身の仕事の削減に他の人が協力してくれるようになります。遠回りではありますが・・・。